The Book'n Den

今WPからお引っ越し中です

10月の読書記録

f:id:hase-base:20220415141426p:plain 気づけば10月最終金曜日になってしまいました。時間が過ぎるのは本当にあっという間ですね。

今月も毎月恒例、読書記録を書かせて頂きます。

くらしのきほん 100の実践

先日部屋中の断捨離をしました。いらないもの、使っていないものを勇気を出して捨てに捨てました。

すると、いつも使っているもの、本当に大切なものだけが残り、とっても居心地の良い空間になったのです。

残ったものは大切なもの。大切なものを大切に長く使うためには?と考えているうちに「丁寧な暮らし」に憧れるようになりました。

この「くらしのきほん 100の実践」はWebメディア「くらしのきほん」から生まれたもの。

帯に書かれている「うつくしいものは自分の手で作れる」というキャッチコピーがお気に入りになりました。

・テーブルの拭き方 ・お盆の過ごし方 ・ブロッコリーの洗い方 ・台所のお掃除の仕方

など、小さな豆知識が100個詰まっています。

技術がすごく発達して指先ひとつで何でも出来るようになったこの時代に、あえて自分の手を動かして汚してものを生み出す美しさを学んだ1冊でした。

0秒で動け

以前TBDでも書評を書かせてもらった伊藤羊一さんの続作です。

前作「1分で話せ」に続き、今度は0秒で動きます。(次は何だろう・・・^^)

行動力をつけるためにはどうしたらいいのか?を知りたく、この本を手に取りましたが、この本で取り上げられている「動く」とは「ビジネスシーンで相手をこちらの希望の通りに動かす」ということがゴールになっているのかなと感じられました。

なので「このプレゼンに賭けている」や「会社での自分の身の振りを考えている」という燃えているビジネスマンにおすすめの1冊です。前作も感じられましたが男性の方が読みやすく、共感しやすい内容かなと思います。

「動けと言われてもどうやって動いたらいいかわからない」という悩みの対処法に「とりあえずやってみる」という回答があり「おうおう、荒療治だな・・・」と思いましたが、何事も経験してみてこそ。

まずは小さくても一歩踏み出すことが大事なんだと改めて胸にしまい込みました。

The Third Door

こちらは手にとった時の印象は良くなかった(分厚い!&細かい!)けど、今となっては私のバイブルとなってくれた1冊。どのページをめくっても素晴らしい言葉達が溢れています。

めちゃめちゃ興奮して書評書いたのでこちらをご覧ください↓

くらしのモヤモヤを整える

前述の「くらしのきほん」に引き続き暮らしシリーズ。

こちらは単行本というより、雑誌の増刊号の扱いのようです。(わたしのカントリー別冊)

日常にひそむモヤモヤをその道のスペシャリスト12名の方がその解消法について伝授してくれています。

雑誌だからでしょうか、写真がとても多くて正に「百聞は一見に如かず」だなと感じました。

スペシャリストの日常や愛用品、我が家の様子などをたくさんの写真とともに解説されており、見ているだけでもともて楽しいです^^

他の人の家の事情を伺うことってなかなか無いので、私もこの本を読み「知らない間に完璧を求めすぎてしまっていたな」と感じられ少し肩の荷が下りた気がしました。

「ひとり時間」ですべてがうまく回り出す

来年の手帳を何にしようと考えていた時、「朝活手帳」なるものの存在に気付きました。

朝活手帳 2022 11月始まり [四六判]

朝活手帳 2022 11月始まり [四六判]

  • 作者:池田 千恵
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
Amazon

朝活手帳についてググっているうちに朝活手帳を作られた「朝活」の第一人者、池田千恵さんの考え方に非常に興味を持ち、この本を手に取りました。

「朝活」の第一人者の池田さん、毎朝4時に起きて9時の始業までをご自身の時間として生活するライフスタイルを続けられているそうです。

池田さんは「朝早く起きよう」と早起きを推奨しているのではなく、あくまでも自分と向き合う時間=「ひとり時間」をみんな持とうよ、声をかけています。

ひとり時間は必ずしも朝でなければならない理由はなく、ご自身のホッと一息つけるタイミングを見つけてその時間で自分と向き合うことをしよう、自分のことをもっと知ろう、と声をかけられているような気持ちになれる1冊でした。

まとめ

部屋の断捨離をしたのが一番の変化だったと思います。

少し前までの私は「利便性」「生産性」「コスパ」が良いものが好きでした。

そんな私が丁寧に自らの手で生活を愛おしむようになったとは自分でも驚きです。

環境が変われば人も変わる、という言葉の意味を感じた1ヶ月でした。

11月も素敵な本との出会いがありますように・・・。

2019年マイベストBOOK!アレックス・バナヤン 著『The Third Door 精神的資産のふやし方』

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今回ご紹介する1冊は、第一印象はイマイチだったものの結果として私の2019年ベスト本大賞第1位に輝きそうなほど大切な1冊となった、アレックス・バナヤンの『The Third Door 精神的資産のふやし方』です。

この本はアメリカでベストセラーとなった後、世界18ヶ国で翻訳・販売された世界的ベストセラー。公式のHPも見てください!!とってもかっこいいんです!!

The Third Door 精神的資産のふやし方 公式HP

サードドアとは??

本書のタイトルにもなっているサードドアについて

『人生、ビジネス、成功。どれもナイトクラブみたいなものだ。常に3つのドアがある。 ファーストドア。99%の人が並ぶ正面入り口。 セカンドドア。選ばれた人だけが利用できる入り口。 普通に生きていたら、この2つのドアしかないような気分になる。 でも、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先に「サードドア」は必ずある。』

と筆者のアレックス・バヤナンは述べています。

普通に生きているとファーストドア、セカンドドアが全てだと思ってしまいますが、実はこの世界にはサードドアも確かに存在しており、サードドアへアクセスする鍵は私たちの身の回りに隠されているのです。

その鍵を私たちが見つけようとするか、手に入れようとするか、に全てはかかっています。

このサードドアから入場すると、ファーストドアやセカンドドアでは決して見る事が出来ない圧巻の景色が広がっているのです。

アレックスがどのようにしてサードドアの存在に気付いたのか、サードドアを突破していったのか、その軌跡を見ていきましょう。

ミッションとの出会い・あらすじ

アレッククスがこの本を執筆しようと決めたのは彼が18歳の時。

幼い頃から医者になることを自分の使命と感じて生きてきたアレックスは、無事に大学の医学部に合格したものの、大学入学後その熱意がぱたりと途絶えてしまいます。

彼は今まで「医者になる自分」しか思え描くことしか出来ず、医者になれるよう、落ちこぼれないように必死になる学生時代を送ってきていました。

アレックスは大学入学後、自分には何が必要なのか、本当になりたい姿は何なのかについて考えてこなかったこと気付きます。

ある日、著者は図書館へと出向き、やる気の起爆剤になりそうな本はないかと何気無しにビルゲイツの本を手に取ります。

 

このビルゲイツとの本が彼の人生を大きく変えてしまうのです。

 

ビルゲイツはアレックスと同じ年齢で会社を立ち上げ、その後世界的に価値ある会社へと導いていきました。

アレックスはビルゲイツがどうやって人生の一歩目を踏み出したのか疑問に思うのと同時に、他の偉人についてもその人生の始まりについて興味を持ち多くの書籍を読み漁りました。

しかし、彼が納得するような答えが書かれている本は見つかることはなくアレックスは途方に暮れます。

しかしその直後、アレックスは「人生の一歩目を踏み出す方法を書いた本が無いなら、自ら偉人たちにインタビューし本にして世界中の人たちに届けよう」というミッションを掲げます。

偉人たちにインタビューをする、というミッションを掲げてから、アレックスの生活はまさにジェットコースターのような日々。

毎日が挑戦であり、試練であり苦悩と歓喜に溢れていました。

多くの人のアドバイスを受け成長していく彼は徐々にサードドアの存在に気付いていきます。

この本の第一印象

この本を手にとった時の私の第一印象は「厚いよ(;ω;)」、そして中を開いてみて一言「細かいよ(;ω;)」でした。

この本の暑さは3cm、一般的なビジネス書は1.5cmなので約倍!(個人調べ)そして450ページを超える超大作なのです。

目次を見てみると、大見出しが5つ、そして中見出しが35個、そして小見出しがそれぞれに4,5個付いているので合計175個のチャプターに分かれているのです。

長くて途中で飽きてしまわないかすごく心配でした・・・。

が、一度読み始めると内容がとっっっっても面白く、どんどん読み進めることが出来ました。某サイトでは「速読で1時間で読んだ」という声も有りました。すごいですね・・・!

チャプターがとても細かく設定されているので、電車の時間など、スキマ時間でも読む事が可能かなと思います。

至極の名言がたくさん!

この本の一番の見所は世界的偉人の名言が本当にたくさん収録されているところでしょう。

しかもその名言はどこかで聞いた事のある名言ではなく、アレッックスが自らインタビューした会話の中から発掘されたものなのでお宝感が満載です。

私は今この本を再読しており、個人的に心に残った名言をノートに残すという作業をしています。

名言マニアにはたまらない1冊です。

読むタイミング(私の置かれている状況や考えていること)によって心に響いてくる言葉も異なってくると思うので寝室などに置いて定期的に読み返し、自分の心の現在地を測るのにも使おうと思います。

読む度に新たな発見がありそうな1冊です。

 

よく聞く言葉の中に

心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる

というものがありますが、まさにこの本の著者のアレックスは「ミッションを達成するぞ!」と心を決め、行動し、行動したからこそ新しい人と出会い、新しい人との出会いで新たな習慣が身につき、人格が変わり、最後には運命まで変えてしまったのだなと感じました。

ノートにメモした名言たち

  • 朝ベッドからなかなか起き出せなくなるなんて、思いもしなかった。疲れていたんじゃない。退屈していたんだ。
  • 幸運はバスのようなもの。一台逃しても次のバスが必ず来る。でも準備して置かないと、飛び乗ることは出来ない。
  • 仲間として見なされたいなら、仲間らしく振る舞うんだ。ファンは写真をねだる、仲間は握手をする。
  • 冒険好きな者にだけチャンスは訪れる
  • 実力以上の仕事をやれ
  • 1枚目の紙にはこれからの1年で達成したい25個のことを書くんだ。そしてこの中で、今から3ヶ月で達成したいものを5個しか選べないとすればどれにする?これで君には2つのリストが出来た。5個のリストの名前は「やることリスト」、残りの20個のリストは「やらないことリスト」
  • 君は、すばらしくて、美しい、人間なんだよ。別のものになっちゃダメだ。

ざっと書いてみました。

一番度肝を抜かれたのは「やらないことリスト」の件でした。

よく何かに集中する時は「何をやるか」ではなく「何をやらないか」を見極めよう!と言われますが、この見切り方は斬新でした。

だってそもそもあげた25個自体が「この1年でやりたいこと」なんですもの。

潔さと勇気ががまだまだ足りないなと感じました。

さいごに

この本は確かに分厚くて細かい。そして「The Third Door」「精神的財産のふやし方」という内容を一見イメージしにくい本です。

しかし、ページを開いてみたら今までに知らない世界が本の中に広がっていました。

何かを始めようと思っている人、一歩を踏み出せず勇気が欲しい人、名言好きな人、そんな人にはこの本をぜひぜひおすすめしたいと思います。

本来であれば、ファーストドア、セカンドドアではなくこれからは頭を使ってサードドアを攻めよう!という内容の本かも知れませんが、私にはそこまでの勇気はなくきっとこれからも「きっとこれにもどこかにサードドアがあるんだよなぁ」と思いながら日常を過ごすような凡人です。

しかし、この本に書かれている名言や気持ちの持ち方はきっと別のところでも活かされる!と信じています。

この本を読んでいると挑戦しているのは私だけではない、失敗も成功もみんな経験と思えてきてちょっとだけ勇気が出るような気がします。

アレックスが期待していたような読者ではないかも知れませんが、確実に私はもうこの本のファンです。

あなたにとって、まさにこの本のページをめくることがサードドアの扉を開くかのような経験になりますように・・・。

9月の読書記録

f:id:hase-base:20220405151938p:plain こんにちわ、すっかり秋も深まって来ましたね😊

毎月恒例となって来ました今月の読書記録です。

時間術大全: 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」

Googleとyoutubeという我々の時間を奪っている2大ツールに携わっていた著者が「時間を生み出す方法」を試行錯誤して87個見つけ、まとめた本。

気が散らないiPhoneの作り方や、集中して物事に取り組む方法など87個ものノウハウが描かれています。時間を生み出す術の組み合わせ方は無限大!

著者が長年かけて試行錯誤して見つけた技を私たちもまた試行錯誤して、自分だけの最高のスタイルを見つけていきましょう。

私はiPhoneのメッセージ系のアプリの通知を全てOFFにしました。(LINEもMessengerもメールも全部!)

あと、SNS系は画面のスワイプで一番最後のページに。うっかりTwitterタイムが激減しました!

M 愛すべき人がいて:小松成美著

大好き浜崎あゆみさんの事実に基づくフィクション。

この本を読んでからあゆの曲を聞くと「あれ、この歌詞ってもしかして・・・」って思うようになってしまいました。

ちょっと悲しい・・・><。。。

ついやってしまう」体験のつくりかた: 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ:玉樹真一郎著

人はどうして「つい」何かをしてしまうのか、「つい」のめり込んでしまう仕組みを作るにはどうしたらいいのか、「つい」人に話をしてしまう体験の作り方とは?について学ぶことが出来る1冊。

元任天堂の企画担当者が明かすあのゲームのヒット作の裏に隠された「体験」のシステムとは!?

巻末には日常のビジネスシーンで、「体験」のシステムをうまく利用するにはどうしたらいいか?にまで言及してくれています。

この本自体が「つい」読み進められるように作られているので、「つい」ハマって読んでしまいます😊

私は私のままで生きることにした:キムスヒョン著

韓国で一大ブームとなっているこの本。カバーの絵が可愛いな、と思い手に取ってみました。

「お隣韓国のオハナシ」では片付けられない、現代を生きる人にとって自分を見失わないようにするための方法が書かれたバイブル書。

前述の「時間術大全」とこの「私は私のままで生きることにした」を同じ時期に読んだことによって「本当に私がやりたいこととは?」や「大切な時間をどう使うか?」を考えられた1ヶ月だったように思います。

RUN女子入門: 自分を変えるランニング:池田美穂著

RUN女子入門 自分を変えるランニング

RUN女子入門 自分を変えるランニング

  • 作者:池田 美穂
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
Amazon

運動の秋になりましたね!私は今年の4月から体力をつけるためにランニングをしているのですが、「走るだけだからね」とついつい自己流になってしまっていました。

なかなかタイムも伸びないし、走っていると苦しい・・・。ということでちゃんと基礎を学ぼうと手に取りました。

ランニングなんて・・・という方でも「やってみたい!」と思わせてくれるように本当に基本の基本から書かれていてとても勉強になりました。やはり自己流は危険ですね。

夢は皇居ランです!!(地方民の夢)

ゼロ・ウェイスト・ホーム ーごみを出さないシンプルな暮らし

先日盛大に家の断捨離をしました。(ゴミ袋大6袋)

その時に「なんでこんなにゴミがいっぱいあるの!!!!」と思い、そもそもゴミを出さないためにはどうしたらいいのか?を知るためにこの本を手に取りました。

家族4人で生活する著者が年間に出すゴミは1ℓの瓶1本に収まる程度というから驚き!

ものをいかにリサイクルするか、ゴミを未然に防ぐか、勉強になりました。

10月は・・・

最近「マインドフルネス」に関心があります。

私はフリーランスとして活動しているのですが、時間があればその分だけ予定を詰めてしまうんですね、悲しいことに。(いや、忙しいことはいいことだ!・・・アレ本当にそうかな・・・?)

ふと振り返った時に「アレ、何してた・・・?」って思うことが多いので、「今ココ」を大切にしていきたいと思います。

じっくり読書をして「実りのある秋」にしていこうと思います☺️

江戸時代の旅行バイブル!? 八隅 蘆菴 著『旅行用心集』

f:id:hase-base:20220321142410p:plain こんにちわ、長谷部さちこです😊

秋の行楽シーズンになりましたね。9月は3連休が2回があり、10月も即位礼正殿の日が祝日になれば4連休!という方もいらっしゃるかも知れません。紅葉を見に出かけよう!涼しくなったからちょっと遠出でもしようかなと思っている方に旅行安全祈願としてこの本を送ります。

この本は私が図書館に足を運び、地理・旅行コーナーを通る際にいつも横目で気にしていた本です。

日本や世界各国の有名観光地のガイドマップに並んでひっそりと「旅行用心集」が・・・。旅行『用心』って・・・。しかも表紙はめっちゃレトロ(浮世絵)!面白そう・・・!

今回手にとってみたら想像以上にいろいろぶっ飛んでいて面白かったのでご紹介致します。

文化庚午6月とは・・・?

この本は文化庚午6月に書かれたものを現代語訳したものです。

文化庚午6月がいつなのか調べてみると・・・

1804年から1817年の13年間、徳川家斉の時代が『文化』という元号だそうです。享和の後で、文政の前に当たります。

でもって庚午とは『西暦年を60で割って10が余る年が庚午の年となる』そうなので(Wikipedia先生より)1810年になるそうです。

つまり文化庚午6月とは1810年6月と読み解くことができます。約200年前、江戸時代の頃のお話。

この本はかねてよりの旅行好きの八隅 蘆菴(やすみろあん)さんがこれまでの旅で身につけた知恵をまとめた江戸時代では最新であり必携の旅行バイブルであったと予想されます。

江戸時代の旅行とは

この本の自序、まえがきは

人々が仕事のいとまに伊勢参宮に旅立とうとして、道連れをさそい、いつが吉日だからその日にしようと決め、あちこちから餞別ものをもらい、家中でその支度のあれこれに心うきうきとしているさまは、なんとも気持ちのひきしまるものである。 (中略) 一生のうちに一度は伊勢参宮に行くというのは、日本に伝わるありがたい習わしではないだろうか。

という一文から始まります。

そっか、江戸時代の旅行ってお参りが目的なんだ・・・。吉日を考えるとか餞別をもらうとか今もう無いな・・・。と冒頭の一文からパンチを食らったような気持ちになりました。

なかでもいざ出発の日となると、親族や友達などが、町外れまで見送りに行き、酒を酌み交わしながら、旅行中はあんなこと、こんなことに注意しなさいなどと、それぞれが親切に言ってやるようすは、はたから見ていてもうらやましいものだ。

現代にも通じる道中用心

  • 旅行に持っていく物は、懐中物(財布)のほかは、なるべく少なくしなさい。持ち物がたくさんあるとなくしたりして、かえってわずらわしいものである。
  • 朝は気ぜわしいため、持ち物を忘れたりするものだから、夜のうちによく調べて、いるものいらないものを考えて荷造りし、散らからないようにしなさい。足袋は寝床の中で履けるぐらいに準備をしておかなければ、朝出かけるのが遅くなってしまう。
  • 朝飯の用意ができるまでに、草履さえ履けばいいまでに身支度をして、それから朝飯を食べるのがよい。
  • とりわけ疲れたときには、熱い風呂にいつもより長く入れば、疲れはとれる。ただし、入浴中に顔を何度も洗ってはいけない。顔を何度も洗うとのぼせてしまう。
  • 食後は絶対に急いで歩いてはいけない。馬や駕籠(かご)に乗るときも速度を速くしないように。もし転んだり落馬したりすると、食べたてでは腹の中が落ち着いていないために、気を失ってしまうことがあるから用心しなさい。
  • 用足しに行きたいのをがまんして、馬や駕籠に乗るのは決してしないこと。落馬したりすると心臓に負担がかかり死んでしまうことがあるものだ。
  • 武士はもちろん町人でも、途中で馬方や人足などが思い通りにならないことがあっても、がまんすることが大切である。
  • 旅の連れはせいぜい5、6人程度までがよい。大勢で行くのはよくない。人はそれぞれ考えることが違うから、大勢で長旅をすると、きっとうまくいかない者が出てくるものだ。

旅行の心得は今も昔も変わらないんですね。

私は旅行に行くとだいたい朝寝過ごしてしまって(確信犯です)急いで朝ごはん、そして朝ごはんの後もベッドにごろん、そしてチェックアウトギリギリに荷物を詰め始めるタイプの人間なのですが、今後は

  • 朝飯の用意ができるまでに、草履さえ履けばいいまでに身支度をして、それから朝飯を食べるのがよい。

という言葉を胸にしまっておこうと思います。

試してみる価値あり?な旅の豆知識

船に酔わないための良い方法

一、船に乗るときに、その川の水を一口飲むと船に酔わない

一、船に乗る時に、陸の土を少し紙に包み、へその上に当てていれば酔わない。

くたびれを治す秘伝

一、茶屋で休むとき、草履を履いたまま足をぶら下げて腰掛けてはいけない。

一、ひどくくたびれた時は、風呂に入った後、焼酎を足の三里より下、足の裏まで吹き付けるとよい。手で塗ったのでは効かない。

一、夏の道中で、笠の下に桃の葉を入れてかぶると、不思議に暑さを感じないものだ。

旅のトラブルこそが一番の思い出!?

この他にも旅に持って行くと良い薬(漢方)や、どの方角から風が吹くとどんな天気になる、というのが事細かく書かれています。

関所間ごとの距離や日本の名湯案内など情報は多岐に渡っており、面白く読みながら歴史を感じることができます。

この本には、いろいろと「○○に気をつけなさい」「○○に用心しなさい」と書かれているのですが、旅のトラブルこそが一番の思い出になったりしますよね。

江戸時代に比べて現代の旅行は当たり前ですが、旅行は本当に安全で身近で手軽なものになったとこの本を読んで感じました。旅行が安全にできることに感謝しながら秋の行楽を楽しんでくださいね!

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小松成美 著『M 愛すべき人がいて』

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巷で話題沸騰のこの1冊。私もその存在は知っていたもののなかなか手に取る勇気そして読み始める勇気が持てませんでした。

なぜなら私は浜崎あゆみさんの大大大ファンなのです・・・・!!!!

TO BEからのCDは全部持っているし、2010年から毎年ツアーにも足を運んでいる。私の人生、あゆを知らない人生よりもあゆを聴いていた人生の方が長くなってしまい、あゆ無しでは生きていけません。

この本ではなんとあゆの過去が描かれている、そしてあの名曲の誕生秘話も描かれていると聞き、見たいような見たくないような、知りたいような知りたくないような、そんな不思議な葛藤と戦うこと約1ヶ月。ようやく手に取りました。

あまりに愛が深過ぎてちょっと歪んだ書評(私がこの本はこうであってほしい議論)になるかも知れませんが、ご了承くださいませ・・・。

どんな本?

この本は小松成美さんというノンフィクション作家が書かれた事実に基づくフィクション、小説です。

これまでに小松成美さんが執筆された本を拝見してみると、中田英寿さんやイチローさん、YOSHIKIさん、白鵬さんなどが挙げられ多くの著名人のフィクションを書かれているみたいです。

あらすじをざっくり言うと、濱崎歩という1人の少女が浜崎あゆみという大スターになっていくまでの奇跡とその成功の影に隠された立役者と恋愛との話。

過去に華原朋美さんも同じように自伝的小説を出されています。

2001年からプチセブンで連載された漫画『SHOWBIZ』を単行本化したものであり、『17歳の女子高生(華原朋美さん)が音楽プロデューサー(小室さん)と出会い、スターへの道を歩み始めるストーリー。小室さんへの恋心と嫉妬心で心がいっぱいになりながらも、最終的には恋愛より歌手の道を選ぶ』というストーリーです。

私はこのSHOWBIZをリアルタイムで読んでいたのでこのMを読んで「ほぼ内容、同じじゃん・・・」と感じてしまいました。

ストーリーはありきたりで、次の展開を予想して「ほら、やっぱりそうなるよね」という平坦なものですが、このMがここまで人気になるのはやはり主人公である『浜崎あゆみ』の圧倒的カリスマ性にあるのでは?と感じています。

浜崎あゆみ』と聞いて「知らない」と答える女性はいないくらいの知名度を誇る彼女。そんな彼女がどのようにして生まれたのか、あの絶大なる人気の裏側を見たい!知りたい!と思っている人がこんなにも多くいるのかと驚きしました。

あらすじ

物語の舞台は1994年、浜崎がまだ17歳の頃に遡ります。

渋谷にできた日本最大のクラブで浜崎とこの物語のもう1人の主人公であり、エイベックスの当時専務であった松浦が出会うところから物語はスタートします。

クラブのVIPルームで少ない会話を交わした所から浜崎の人生は大きく変わり始めることに。

その他大勢の群衆の中から原石のように導き出し、夢と希望を見せてくれた専務に対し義理と尊敬の念を抱いていた浜崎ですが、次第とその気持ちが愛情に変わっていることに気づいたのです。

暴露本と呼ばれ、人気を博す理由

1人の少女が天才プロデューサーにその才能を見出されシンデレラのようにスターへの道を歩む。

尊敬が愛情に代わり天才プロデューサーと恋に落ちるも、2人は次第にすれ違い破局

最終的に恋愛よりも歌手として夢を描き続ける道を選ぶ、という一見誰にでも想像し得るようなベタな展開でストーリーは進んで行きます。

途中物語が曲がり角を迎える度に、これまでにリリースされた浜崎の曲の歌詞が登場し、ヒット曲の誕生秘話や隠されたメッセージを知ることが出来るのもこの本が人気になっている理由の1つだと思います。

メロディ抜きで浜崎の歌詞を詩のように朗読してみると、言葉の意味にまた違った感情が吹き込まれるような気がします。

音楽雑誌や音楽番組のレビューなどで女性の気持ちを表現している、若い女性の代名詞と人々に称された浜崎が実際に感じ思っていたことが何なのか、その答えがこの本にあります。

真実はどこにある?

しかしながら冒頭に述べたようにこの本はあくまでもフィクションであり、小説なのです。

浜崎自身もこの本のエンドロールに

「一体どの部分がリアルでどの部分をファンタジーだと感じているんだろう。もちろん答えあわせなどをするつもりは無いし、真実は当人達だけが解っていれば良い事だと思っている。」

とのメッセージを残しています。

読んでいると全てが実在したことのように感じてしまいますが、ファンタジーである部分があるのもまた事実。

この部分は事実であって欲しい、この箇所はファンタジーであって欲しいなどと読む人によってこの本から感じられる印象は様々なものになると思います。

しかし、それこそが浜崎が生んだ曲が多くの人の心を魅了し、その曲の歌詞に励まされ共に生きてきた証なのではないでしょうか。

この本に描かれた名曲たち

aeternal A song for xx Daybreak TO BE poker face Trust Depend on you appears vogue Faraway SEASONS M

SEASONSは浜崎の代名詞ともなる1曲です。

彼女の顔とも言える曲が彼女の失恋という大きな傷から生まれたとはなかなか皮肉ですね・・・。

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私の正義はどこにある?宮木あや子 著『校閲ガール』

f:id:hase-base:20220321141535p:plain こんにちわ😊先日図書館の中をウロウロしていたらとっても可愛い表紙が目に入り、そのまま自宅へ持ち帰りそのまま一気読みをした1冊、校閲ガールについてご紹介をさせていただきます。

校閲とは・・・?

普段あまり耳慣れない単語、校閲とは出版業界で使われる言葉です。

コウエツ【校閲】(名・スル他動)文章や原稿などの誤りや不備を調べて、なおしたり補ったりすること。「馬琴のーを経たりしたものにて〔小説神髄〕」 『新潮現代国語辞典』より

この本の主人公は大手出版会社の校閲部に所属する新卒2年目の悦子。

悦子は幼い頃からファッション誌が大好きで、ファッション誌の編集部で働くことを夢見てこの会社に入社しました。しかし、配属されたのはファッション誌の編集部とは程遠い校閲部。

今の仕事を頑張ることが夢への近道だと上司に諭され、なんとか仕事をこなす悦子。この本はそんな悦子の日常を描いた物語です。

本は立派な社会科見学

私はこの本に出会うまで、(読書はすごく好きだけど)本がどのようにして出版されているのかは知らず、作家さんが原稿を書き、編集者か誰かが直して、出版される。そんな風にざっくりとしか考えていませんでした。

しかしこの本を読んで、原稿の手直しをする専門の「校閲者」という方がいる、そしてこの校閲は本当に細かいところまでチェックする、というのを始めて知りました。

・誤字脱字 ・語尾や使っている言葉の統一(‘お母さん・母’など) ・作品に書かれている実在の出来事の正誤について ・作品の中の時間軸が実際のものとずれていないか

など本当に細かくチェックされ、我々の手に届いているのです。プロの校閲者でも1日に完璧に校閲できるのは原稿25枚程度なんだそう。ただ、目を通して読みにくい文章ではないか、と点検するだけではないんですね・・・。

読書の楽しみの醍醐味として、異なる業種・異なる人生を垣間見れることだと思います。大人になってからの社会科見学、と言ったところでしょうか😊?

ある大物作家とイケメン

この本の主人公の悦子が担当しているのはエロミス(エロス&ミステリー)の大御所の本郷大作と正体不明の新人作家、是永是之。

この2人とのやりとりがこの本のキーとなっていきます。

本郷大作とのやりとりは物語の前半部分で終わったかと思えば、後半にも一波乱。そしてカフェで出会った、悦子の好みドストライクの男性が実は悦子が担当している作家・是永是之だった・・・!?悦子が知ってしまった是永是之の裏の顔とは・・・?

悦子の恋が始まったり、校閲という仕事についての価値を見出したり、この2人から目が離せません!

私にとっての正義とは?

この本の最後に

もし文章がヘタクソでも書かれていることが事実とは異なっていても、その内容が何か価値を産みさえすれば許されるとするならば、校閲なんて必要ないし、そもそも校閲という概念すら存在しなかっただろう。

という一文と

見た目が整っていることは悦子にとって正義で、見た目を整えようと努力することも悦子にとって正義だ。

という一文があります。

悦子にとって、「美しく整っている」ことが何よりもの正義である(例えばいくら性格が優しくイケメンでも外面が整っていないとお近づきになりたいと思わない)と気づいた時、悦子が行なっている校閲もまた悦子のもつ正義と同じことを体現していることに気付きます。

いくら表記がめちゃくちゃでも、嘘が並べられていたとしても内容が良ければそれでよし、そんなのおかしいし、許されない!と。

このことに気付いた悦子はこれまで「まだよく判らない」と言っていた校閲の仕事にやりがいを感じ始めてきます。

自分が偏愛して止まないものや大切にしている座右の銘とまさか目の前の仕事が通じているなんて・・・!この悦子の発見に気付いた時私も思わず鳥肌が経ちました。

(話は脱線しますが)私はプロ野球がとても好きなのです。その理由が「野球はチームで行うものだから誰かがミスしてもみんなで全力でカバーする。その上で選手個人個人がベストを尽くそうと頑張っているのが美しい」と思うからです。

そして私は人の上に立って率先するよりも、そっと下から支えたり弱い部分を補う事の方を得意としています。そしてきっと誰が苦手としていることの中に私が出来ることがある!と考えています。

このように私が大切にしている座右の名と私が考える野球の素晴らしさが合致した結果、野球への偏愛となったのでしょう。

あなたが偏愛して止まないもの、大切にしている座右の名は何ですか?

ドラマ化もされているよ!

私はTVを全然見ないので調べて判明したことですが、2016年にドラマ化されていたんですね😊

主人公悦子は石原さとみさんが演じられているそう。

物語の中の悦子はファッション誌の編集部を切望するほどファッションが大好き、ということもあってどんな時もオシャレに気を遣っていました。この本を読むだけでだいぶオシャレについての知識が得られます。

そんなオシャレな悦子を石原さとみさんが演じるなんて・・・絶対可愛いに決まっている・・・!DVDのパッケージからして可愛い・・・!

ぜひ今度ドラマの校閲ガールも見てみようと思います。

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読書好きさんと繋がりたいです😊

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8月読書の振り返り

f:id:hase-base:20220321140946p:plain こんにちわ、さっちーです! 今月も読んだ本をざっくり振り返る、というのをやっていこうと思います☺️

読書履歴をざっくり振り返ることで「そうそうこんな本読んだな」とか「これは大事だと思っていたな」と知識と経験の定着になるかな・・・と考えております。

ぜひお付き合いくださいませ✨

重力ピエロ

最近東野圭吾さんから伊坂幸太郎さんにブームが移りつつあります。

春と泉水の兄弟が謎の放火事件を追っていくストーリー。

物語の裏に隠された社会問題についても考えさせられる1冊です。

むらさきのスカートの女

第161回芥川賞受賞作品。

読み終わった後にスッキリせず、むしろモヤっとする今村ワールド前回のこの作品。

世にも奇妙な物語に出てきそうなお話です。

朝時間が自分に革命をおこす 人生を変えるモーニングメソッド

朝活が流行っていますが、実際早く起きても何やればいいの・・・?という人におすすめの1冊。

朝の1時間を使って人生を変えるために何をしたらいいのか、人生が本当に変わった著者が実践していた項目を解説しています。

わたしもこのモーニングメソッド、やっています!

開始して約1ヶ月、ちょっとだらけてきましたが『時間がない』と言い訳にしていたことを続けられているので達成感は非常にあります😊

読書する人だけがたどり着ける場所

個人的に著者の斎藤孝先生が大好きです。

今回はそんな斎藤先生が読書をテーマに本を執筆されていたので迷わず手に取りました。

「読書をするということはその本のワールドにどっぷり浸るということ。そしてそれがこの世の楽しみを広げてくれること」と書かれておりただ知識をつけるだけのビジネス書だけではなく、もっと人間力を深める読書をしようと思うようになりました。

ビジネス書だと得か損か、勝ちか負けか、きっちりと線引きをされてしまいますが、人生ってそんなに簡単に線を引かれて諦められるものではないですもんね。

成功や勝ち負けではない、「生きる勇気」「生きる深さ」を読書で学ぼうと思いました。

夢を叶えるゾウ3 ブラックガネーシャの教え

大好き夢を叶えるゾウの3作目。

今回のテーマは「商売・仕事」です。

商売とは?人に物を売るとは?仕事を作るとは一体何なのか。

一見正しそうな理論であっても実は人を欺いている行為になっているのかもしれない、ということに気付かせてくれる1冊でした。

「違うこと」をしないこと

結構スピリチュアル寄りな1冊です。

実際に吉本ばななさんとゲストの対談部分は理解が難しい部分もあり、まだじっくり読み込めていません。

一方のばななさんの書き下ろしのエッセイ部分は「そうだよね、うんうん」と頷ける部分が多く、もっと直感を大事にし「何か違うな」のアンテナを磨いていこうと思いました。

お盆の帰省ラッシュの渋滞にハマっていた時に読んだ1冊。

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読書好きさんと繋がりたいです😊

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