The Book'n Den

今WPからお引っ越し中です

私の正義はどこにある?宮木あや子 著『校閲ガール』

f:id:hase-base:20220321141535p:plain こんにちわ😊先日図書館の中をウロウロしていたらとっても可愛い表紙が目に入り、そのまま自宅へ持ち帰りそのまま一気読みをした1冊、校閲ガールについてご紹介をさせていただきます。

校閲とは・・・?

普段あまり耳慣れない単語、校閲とは出版業界で使われる言葉です。

コウエツ【校閲】(名・スル他動)文章や原稿などの誤りや不備を調べて、なおしたり補ったりすること。「馬琴のーを経たりしたものにて〔小説神髄〕」 『新潮現代国語辞典』より

この本の主人公は大手出版会社の校閲部に所属する新卒2年目の悦子。

悦子は幼い頃からファッション誌が大好きで、ファッション誌の編集部で働くことを夢見てこの会社に入社しました。しかし、配属されたのはファッション誌の編集部とは程遠い校閲部。

今の仕事を頑張ることが夢への近道だと上司に諭され、なんとか仕事をこなす悦子。この本はそんな悦子の日常を描いた物語です。

本は立派な社会科見学

私はこの本に出会うまで、(読書はすごく好きだけど)本がどのようにして出版されているのかは知らず、作家さんが原稿を書き、編集者か誰かが直して、出版される。そんな風にざっくりとしか考えていませんでした。

しかしこの本を読んで、原稿の手直しをする専門の「校閲者」という方がいる、そしてこの校閲は本当に細かいところまでチェックする、というのを始めて知りました。

・誤字脱字 ・語尾や使っている言葉の統一(‘お母さん・母’など) ・作品に書かれている実在の出来事の正誤について ・作品の中の時間軸が実際のものとずれていないか

など本当に細かくチェックされ、我々の手に届いているのです。プロの校閲者でも1日に完璧に校閲できるのは原稿25枚程度なんだそう。ただ、目を通して読みにくい文章ではないか、と点検するだけではないんですね・・・。

読書の楽しみの醍醐味として、異なる業種・異なる人生を垣間見れることだと思います。大人になってからの社会科見学、と言ったところでしょうか😊?

ある大物作家とイケメン

この本の主人公の悦子が担当しているのはエロミス(エロス&ミステリー)の大御所の本郷大作と正体不明の新人作家、是永是之。

この2人とのやりとりがこの本のキーとなっていきます。

本郷大作とのやりとりは物語の前半部分で終わったかと思えば、後半にも一波乱。そしてカフェで出会った、悦子の好みドストライクの男性が実は悦子が担当している作家・是永是之だった・・・!?悦子が知ってしまった是永是之の裏の顔とは・・・?

悦子の恋が始まったり、校閲という仕事についての価値を見出したり、この2人から目が離せません!

私にとっての正義とは?

この本の最後に

もし文章がヘタクソでも書かれていることが事実とは異なっていても、その内容が何か価値を産みさえすれば許されるとするならば、校閲なんて必要ないし、そもそも校閲という概念すら存在しなかっただろう。

という一文と

見た目が整っていることは悦子にとって正義で、見た目を整えようと努力することも悦子にとって正義だ。

という一文があります。

悦子にとって、「美しく整っている」ことが何よりもの正義である(例えばいくら性格が優しくイケメンでも外面が整っていないとお近づきになりたいと思わない)と気づいた時、悦子が行なっている校閲もまた悦子のもつ正義と同じことを体現していることに気付きます。

いくら表記がめちゃくちゃでも、嘘が並べられていたとしても内容が良ければそれでよし、そんなのおかしいし、許されない!と。

このことに気付いた悦子はこれまで「まだよく判らない」と言っていた校閲の仕事にやりがいを感じ始めてきます。

自分が偏愛して止まないものや大切にしている座右の銘とまさか目の前の仕事が通じているなんて・・・!この悦子の発見に気付いた時私も思わず鳥肌が経ちました。

(話は脱線しますが)私はプロ野球がとても好きなのです。その理由が「野球はチームで行うものだから誰かがミスしてもみんなで全力でカバーする。その上で選手個人個人がベストを尽くそうと頑張っているのが美しい」と思うからです。

そして私は人の上に立って率先するよりも、そっと下から支えたり弱い部分を補う事の方を得意としています。そしてきっと誰が苦手としていることの中に私が出来ることがある!と考えています。

このように私が大切にしている座右の名と私が考える野球の素晴らしさが合致した結果、野球への偏愛となったのでしょう。

あなたが偏愛して止まないもの、大切にしている座右の名は何ですか?

ドラマ化もされているよ!

私はTVを全然見ないので調べて判明したことですが、2016年にドラマ化されていたんですね😊

主人公悦子は石原さとみさんが演じられているそう。

物語の中の悦子はファッション誌の編集部を切望するほどファッションが大好き、ということもあってどんな時もオシャレに気を遣っていました。この本を読むだけでだいぶオシャレについての知識が得られます。

そんなオシャレな悦子を石原さとみさんが演じるなんて・・・絶対可愛いに決まっている・・・!DVDのパッケージからして可愛い・・・!

ぜひ今度ドラマの校閲ガールも見てみようと思います。

f:id:hase-base:20220303104201p:plain

読書好きさんと繋がりたいです😊

書評執筆のご依頼はこちら↓

note.com