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あの女の正体は!? 今村夏子 著『むらさきのスカートの女』

f:id:hase-base:20220321140624p:plain みなさん令和初の夏、どのように過ごされていますか?

私は相変わらず本を読んでいました。暑い日は涼しい室内で読書をするに限りますね^^

8月の最終週には8月に読んだ本をまとめようと思います!

今月は何冊、本を読んだかな・・・♪

さて、今回わたほんで書く書評は第161回芥川賞を受賞した今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』です。

そもそも芥川賞って?直木賞との違いは?

本を読む人が本を選ぶ時に参考とするのが、この芥川賞直木賞ではないでしょうか。

毎年芥川賞直木賞が決定するとニュースになったりするので、普段読書をされない方も耳にしたことはあると思います。

しかしながら、芥川賞直木賞、よく聞くけど実際何が違うの・・・?と思っている方もいると思います。

何を隠そう私もその1人。

実際私も今回初めてググりました。(Yahoo!知恵袋さん、ありがとう!)

  • 芥川賞・・・芥川龍之介の名を冠した純文学が選考基準の新人作家が対象の文学賞。短編・中編作品が対象
  • 直木賞・・・直木三十五の名を冠した大衆文学が選考基準の新人及び中堅作家が対象の文学賞。実際は新人が受賞することは難しくなっており、中堅作家が対象となることが多い。長編作品も対象作品に含まれる
  • 純文学・・・芸術性や形式について重きをおいた小説の総称でひとつのテーマについて書かれることが多い。
  • 大衆文学・・・純文学と比べて、娯楽性や商業性を重んじる小説の総評。この場合、ストーリーや話の展開を意識して書かれることが多い。
選考期間は下半期(7月)と上半期(1月)だそうです。賞として懐中時計が、副賞として金100万円が贈呈されるとのことでした

あらすじ

わたしの家の近所に「むらさきのスカートの女」と呼ばれている人がいる。 いつもむらさきのスカートを穿いているので皆からそう呼ばれているのだ。 商店街にむらさきのスカートの女が現れると皆、彼女に釘付けになる。 「気持ち悪い」と目を背ける人、「やった!ラッキー」とジンクス代わりに喜ぶ人、むらさきのスカートの女の興味を引こうとする人。 (実際「わたし」もそのうちの1人だった。むらさきのスカートの女はとても運動神経がよく、商店街の人混みの中で人とぶつかることは絶対にない。「わたし」はあえて彼女にぶつかってむらさきのスカートの女の反応を見たかったのだ) しかし、周囲にどんな反応をされてもむらさきのスカートの女は決して周りに動じることなく、彼女のペースで生活をしているのである。 そんなむらさきのスカートの女に「わたし」はどんどん惹かれていき、なんとかして彼女と友達になろうと努力することに・・・。 しかしいきなりむらさきのスカートの女に声をかけるのでは怪しまれてしまう。 「わたし」は怪しまれない方法で自己紹介をして、むらさきのスカートの女との距離を縮めるには同じ学校、もしくは職場に努めるのが一番いいと思い付き、行動を開始する・・・。

「わたし」とむらさきのスカートの女

この本は、語り手の「わたし」が「わたし」が気になっているむらさきのスカートの女を観察している観察日記となっています。 小学生の頃の夏休みなど、ずっと長いこと家にいると「あ、お隣のおばあちゃんが花に水をやっているな」とか、「あ、そろそろ買い物に行く時間かな」など、普段は気がつかない他の人の日常生活のスタイルに気付いた経験、ありますよね?(・・・見過ぎ・・・?笑) この本の主人公「わたし」は、まさしく幼少期の頃の私のようにむらさきのスカートの女の生体について事細かく観察をしています。 その観察力の鋭さはストーリを読み進めていくと「え!?なんでそんなところまで知ってんの??」「これさすがにヤバイでしょww」というレベル。 ツッコミどころ満載で面白い。むしろ怖い・・・。笑 どうしてここまで「わたし」がむらさきのスカートの女に興味を持つのか、私はその理由を物語の中に見つけられませんでしたが、これまでに「わたし」が生きて来た記憶の中にむらさきのスカートの女に似た人がたくさん存在しておいたので、過去の友人たちを彷彿とさせ、「この再会には何か意味があるのだ」と思わせ、衝動に駆られたのでは?と思っています。

むらさきのスカートの女から目が離せない!

「わたし」のおかげもあってか、無事に仕事を見つけたむらさきのスカートの女。 彼女が働き始めた職場は離職者がとても多い、曰く付きの職場でした。 動物園のような個性が強い人に囲まれながら仕事を始めたむらさきのスカートの女。 個性豊かな同僚たちと過ごしていくうちに、どんどん彼女らしさが出てくるようになります。

「この人は前半の人と同じ人だよね・・・」と言いたくなるくらい、ストーリーの中の彼女から感じられるオーラがどんどん変わっていくむらさきのスカートの女から目が離せません。

「わたし」から目が離せない!

ストーリーが進んでいき、むらさきのスカートの女が変わっていくに連れて「わたし」から感じられる印象も前半部分の印象と大きく変わっていきます。

そしてついに「わたし」とむらさきのスカートの女が出会い言葉を交わす時、読者が感じる「わたし」とむらさきいろのスカートの女の印象は逆転することになるでしょう。

いつから2人は交錯していたのか、読み終わってもなおスッキリすることが出来ずにまたもう一度読み返してしまうそんなストーリー。

あなたはこのストーリーの中に散りばめられた布線に対してのいくつの答えを見つけられるでしょうか。

今村ワールド前回の展開に引き込まれていくこと必至です!

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