こんにちわ、さっちーです
先週から突如始まった過去の本屋大賞受賞作品を読んでみようシリーズ第2弾。
今回ご紹介するのは2004年の本屋大賞7位受賞作品、よしもとばななさんの『デットエンドの思い出』です。
ばななさんの世界観がぎゅっとこの1冊に
デッドエンドの思い出は
・幽霊の家 ・「おかあさーん!」 ・あったかくなんかない ・ともちゃんのしあわせ ・デッドエンドの思い出
と書き下ろし4作品を含む5作品が収録された短編集です。
どの作品もばななさんの作品特有の心理的描写が美しく、読んでいて「こういう表現って素敵だな」と思う箇所が散りばめられており、1ページ1ページを大切にめくりたくなる1冊でした。
どこにでもいる普通の女の子
デッドエンドの思い出に収録されている5つのストーリーの主人公の女の子は皆どこにでもいそうな普通の女の子。
しかし、普通の女の子ですが皆心に擦り傷のようなものを抱えていました。
育った環境が複雑だった女の子、大好きだった人に振られてしまった女の子。
あとがきでばななさんは『この短編集は「自分のいちばん苦手でつらいことを書いている」という過程を経たものであり、「つらく切ないラブストーリーばかりです」』とコメントされています。
嬉しいこと・楽しいことは簡単に読み手の心に届き、思いを共有出来ますが、辛いこと・悲しかったこと・苦しかったことを読み手の心に届けるのはとても大変なことだと思います。
辛いこと・悲しかったこと・苦しかったことは自分の心の奥深いところにしまいこんでしまい、無理にでも記憶から遠ざけようとしてしまいますよね。
女の子の悲壮感を残酷すぎず、それであって「私も昔こんなことあったな」と思い出させてくれ、苦しい気持ちではなく、甘酸っぱい気持ちにさせてくれるばななさんは本当に言葉を紡ぐのがうまいなと感じました。
心に響いた一文たち
この1冊を通して特に私が「素敵だなぁ」「私もいつかこんな表現を出来るようになれたらいいなぁ」と思い、ノートにメモした一文たちです。
・家族のことで傷ついたことがない人なんて、この世にはひとりもいない ・心の揺れや変化がともちゃんにとっては充分「旅」だった ・大切にしているものがきれいな輪になってまわりに存在していることが、ともちゃんにとっての人生だった ・それは獲物を狙う鷹のようにではなく、まるで時間がたてば咲くつぼみのように、ただすうっと見ていたのだった ・一見悲しい珍しい経験をしたっていうだけで、みんないきなり親しい人みたいにふるまうんだもの。
「旅」を「心の揺れや変化」と表現しているのをみてハッとしました。
私がどうして旅をするんだろうと考えると、「非日常」をもとめているのであり、その「非日常」とは何だろうと考えるとやっぱり「心の揺れや変化」なんですよね。
うーん・・・。この表現、やっぱりすごい!!
私はこの5作品の中で一番好きな話はやはり「デットエンドの思い出」です。
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