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時代を超えて今を生きる言葉たち 樹木希林 著『一切なりゆき』

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こんにちわ、さっちーです

こんにちわ、3月になりましたね。

新年を迎えてから本当にあっという間ですね。

実は新年を迎えてからいろいろと新しいことを始めている私。

ちょっと最近生き急いでいるな…と思う出来事があったのでこの本を手に取りました。

樹木希林さんについて

樹木希林さんは1943年東京生まれの日本を代表する女優さん。 61歳の時に乳がんを、70歳の時に全身がんであることを公表。 がんであると公表してからも数々の映画に出演し、女優人生を全うする。 2018年9月15日に死去。

私が物ごごろついた頃から樹木希林さんは様々な作品に出演されており、私の中では「ドラマでおばあちゃん役と言ったら樹木希林さん」「お正月、年賀状のCMと言ったら樹木希林さん」というイメージです。

この本について

この本『一切なりゆき』はこれまでに樹木希林さんが受けた取材の中から選りすぐった言葉を抜粋し、

・生きること ・家族のこと ・病いのこと、カラダのこと ・仕事のこと ・女のこと、男のこと ・出演作品のこと

に分けて収録しています。

本書の「はじめに」の部分に

本書は樹木流生き方のエッセンスでもあるのです。 生き方のエッセンス?「それは依存症というものよ、あなた。自分で考えてよ」と故人には怒られてしまいそうです…。

という一文があるのですが、この「それは依存症というものよ。」の言葉にハッとしました。

自分の人生は自分で選ぶこと、参考にすることはあっても、依存してはいけないな…。と考えさせられる一文でした。

命について、病について

この本は「私の人生最高だった」「このように生きていったらいいと思う」というバイブル書ではなく、どちらかと言うと読んだ後にずっしりと何か重いものが心の中に残るような1冊です。

それは恐らく「死」や「老い」「病」についての所見が多く含まれるからではないでしょうか?

晩年の樹木希林さんは全身をがんで侵されながらも治療に専念することなく、女優としての仕事をこなされてきました。

それは樹木希林さんが「死」や「病」「老い」と共存して来たからこそではないでしょうか。

私はまだまだ健康ですが、将来「老い」を感じたり「病」に侵されたり「死」について考える時、樹木希林さんのように感じられるかな?と考えてしまいました。

また、私の両親が「老い」ていき、「病」や「死」と向き合わねばならなくなった時、私は両親に対して何を思うのだろうかと考えていました。

樹木希林さんが考える女性について

・なんでも「私が」「私が」という。世の中が「私が」を主張するようになってきたということは、そういうことをしないと自分がいることが確かめられないという心もとなさかなと思うんです。 「私が」と牙をむいているときの女というのは醜いなぁというふうに思うわけですね。
・女は強くていいんです。強くないと一家を支えられないんですよ。その強さで「男女平等」というところに旗を掲げなくても、もっと女の適正の場所を探して、そこで強くなるとすごく世の中は美しくなると思うんですけどね。

私がこの本の中で一番心に残ったフレーズです。

樹木希林さんは女性は強くてもいい、でもその強さを主張するところを間違えないでとメッセージを送っています。

私自身もこれまでの人生の中で「女性だからって軽く見ないで欲しい」と思うことが何回かありました。

男性に負けるもんかと躍起になって仕事をした時もありました。

でも、その時の私はただクタクタになっただけで、本当の私の良さは生きていなかったと思います。

女性は女性だからこそ簡単に器用に出来ることを考え、活かしていく。

この言葉を忘れずに華麗に生きて生きたいと思います。

欲、執着を手放すことの大切さ

この本のタイトル、「一切なりゆき」は、樹木希林さんが生前色紙に書いていた言葉、「私の女優魂はね、一切なりゆき」から選出されたものだそうです。

『一切なりゆき』という言葉が示しているように、樹木希林さんは多くの欲を持たない方だったそうです。

・欲なんてきりなくあるから求めすぎない ・もっと、もっとという気持ちをなくす

という考えを持っていたそうです。

あらゆるものに縛られず自由に生きて来たからこそ、様々な名シーンを力むことなく演じてこられたのではないかと個人的には思っています。

そして、いろんな執着や思い込みを持たず、「一切のことはなりゆき、人生楽しんで」とメッセージを送られているように感じます。

冒頭にご紹介した「それは依存症というものよ、あなた。自分で考えてよ」という樹木希林さんの言葉もなんだか分かるような気がします。

誰かが自分の言葉に縛られてしまうことを防いでいたんですね。

終わりに

樹木希林さん、私の中では「やさしいおばあちゃん」というイメージでしたが、この本を読んでそのイメージがいい意味で崩れました。

素顔の樹木希林さんはとても気が強く、喧嘩っ早い女性だったそうです。

しかし、気が強くもありがならも何かに拘ることをせず、常に流れに身を任せ自らの力で居場所を作って来られました。

最近肩肘張って思い詰めることが多かったので、樹木希林さんの「一切なりゆき」という言葉を胸に、日々楽しみながら大切に生きていこうと思います。

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