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深い孤独とやわらかな愛情 一度は読んでおきたい よしもとばなな 著 『キッチン』

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はじめに

こんにちわ、さっちーです!

この間友人と話しをしていた時に、友人が「よしもとばななさんのキッチンにすごく救われた」と話をしていて、そういえば最近キッチン読んでいないなぁと思い、久しぶりにこの本を手に取りました。

今回は有名なよしもとばななさんの「キッチン」をご紹介させて頂きます。

どんな本?

作家よしもとばななさんの作品の中でも特に人気が高い「キッチン」。

これまでにも200万部以上を売り上げ、1989年、1997年と二度にわたって映画化されています。

作品は「キッチン」「満月のキッチン」「ムーンライトシャドウ」の三部作。

1部の「キッチン」はこの本のタイトルともなっているリード作品、2部の「満月 キッチン2」は1部の続編となっています。3部の「ムーンライトシャドウ」はキッチンとは舞台を変え、書き下ろしの作品となっています。

あらすじ

両親を幼い頃に亡くし、祖母に育てられた主人公・桜井みかげ。最愛の祖母を亡くし行き場を無くしていたみかげに声をかけて来たのは、亡くなった祖母のゆかりの店で働いていた青年・田辺雄一。

落ち着くまで田辺家に居候させてもらうことになったみかげ。その田辺家に隠された大きな秘密とは。一風変わった田辺家に引き取られたみかげ。そんな田辺家の大きな愛情に包まれて、みかげの心はかつての感情を取り戻していく。

さっちーの惹かれた一文

「人生は本当にいっぺん絶望しないと、そこで本当に捨てらんないのは自分のどこなのかをわかんないと、本当に楽しいことがなにかわかんないうちに大っきくなっちゃうと思うの。」

物や情報が飽和状態にあり、よりたくさんの物を持っている人が幸せだと思われている現代において「手放す」と言うのはとても勇気のいること。

雄一の母、えりこのこの言葉から

「そうか、たくさんの物を抱えるのではなく、本当に大切なこと、本当に捨てられないものだけを大切に守っていけば良いんだ」とスッと心が軽くなりました。

自分の見栄やプライドを自ら見せつけられることはとても辛い。でも、一度自分を丸裸にすると本当に大切にしたいものが何かわかる。

そんな事を教えられたえり子の言葉でした。

おわりに

キッチン、深い孤独と哀愁の漂う小説ですが、読み終わった時には心にロウソクの火が灯るような、どこか優しい気持ちになれる1冊です。

愛する人を亡くした時や、不安、孤独を感じている時は、この広い世界にただ独り残されてしまったかのような錯覚に陥ります。

大丈夫、辛い気持ちになっているのはあなただけじゃないよ、独りじゃないよ、とそっと包み込んでくれるような、そんな作品です。

夏の終わりを感じられるようになってきたこの頃、吹き抜ける涼しい風と共に読んで見てくださいね。

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